-- 循環水の磁気処理による防錆機序の研究 --
  
水中に鉄片を入れた際の錆による水中の濁度の変化について
  


◆3種類の実験による結果
(1)磁気処理せず
(2)1組の永久磁石(0.7T )による磁気処理
(3)4組の永久磁石(0.7T )による磁気処理

13ltr容のスチロール樹脂製の水槽にヒーターおよび試料の鉄片を配置し、イオン交換水6ltrを満たした。
ポンプの流量は3.1ltr/minであり、水温はヒーターで約30 ℃に維持。試料の鉄片のサイズは0.20×85 ×75mmで純度は99.5%。前処理として表面を#600のサンドペーパーで研磨し、地中に設置された配管を想定し、φ2mmの銅線に接続しアースに接続した。



実験開始300時間・・・・濁度が大きく変動し、どの条件が有効かは判断できない。
実験開始400時間後・・・1→2→3の順に濁度が低下。磁気処理により濁度が低下することが判断できる。
実験開始880時間後・・・実験終了。平均濁度は1→19.1度、2→7.7度、3→3.4度

◆実験終了時の鉄片の状態比較

●実験終了時(880時間後)の非磁気処理水および磁気処理水中の鉄片を比較すると、磁気処理水中の鉄片の方が形の崩れがなく、錆の進行が遅れていた。

●非磁気処理水中の鉄片が褐変しているのに対し、磁気処理水中の鉄片は黒変していた。

●実験終了時の鉄片を乾燥させ、表面を一定量削り黒変部の重量比率を求めた。
非磁気処理水中の鉄片→47.7%
磁気処理水中の鉄片→61.7%

●褐変部と黒変部をX 線解析
褐変部→赤鉄鋼(FeOOH )
黒変部→磁鉄鉱(Fe3O4 )

◆磁気処理による水中濁度低下の確認

実験の結果、磁気処理により400時間後には水中の濁度が低下する現象が確認できた。
その理由として…

●赤水の原因は鉄の腐食生成物が水中に拡散することにより生じる。

●これら腐食生成物のほとんどは常磁性もしくはフェリ磁性である。

●そのため、これらの腐食生成物が磁界に達すると磁化されるはずであり、その結果、磁化した腐食生成物が相互に吸着し粗大化する。

●粗大化による自重の増加により沈殿が促進され、その結果、水中の濁度が低下した。

以上のようなことが考えられる。

◆鉄片に占める黒錆の比率増加

磁気処理により鉄片に占める黒錆の比率が増加する現象が確認できた。
(赤錆はFeOOHおよび非晶質錆、黒錆はFe3O4を主成分とした錆の色調をいう)

●赤錆が黒錆に変わることで鉄片表面が緻密で密着性の良い不働体被膜(保護膜)で被われ、錆の進行が抑制される。

●鉄上に自然に生成される保護膜は、内側がFe3O4 、外側が複合酸化物であり、その全体は酸素分子の吸着層によって安定化されていることが知られており、保護膜形成は赤水防止にも寄与する。

[還元反応の化学式]
Fe2++8γ‐ FeOOH+2e‐→3Fe3O4+4H2O
[酸化反応の化学式]

3Fe3O4+3/4O2+9/2H2O→9FeOOH


◆結 論

本実験では、磁気処理が赤水の発生におよぼす影響について0.7Tの永久磁石を用いた2種類の磁気処理装置(MTD)を試作し、循環系でのモデル実験を行った。
その結果、いずれの磁気処理装置においても400時間後には、非磁気処理条件に比べ、水中の濁度が低下した。また、880時間後の鉄片の表面を分析した結果、非磁気処理条件に比べ、黒錆(Fe3O4)の発生比率が増加していることを確認した。
以上より、水の磁気処理の作用は、腐食生成物の沈殿を促進すると同時に鉄片を磁鉄鉱化することで赤水を減少させることができると考えられる。



Proceedings of The First Symposium on New Magnetic Science '97
「循環水の磁気処理による防錆機序の研究」より抜粋

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